2014年3月12日水曜日

2シート電車から2Bへ

いつもは横浜あたりから東京方面へ移動するとき
JRを使うところ、本日は、京急で。

川崎で乗り換えて、地下鉄線直通電車を待っていると
旅に行くような2ドアの車輌がきた。

通路をはさんで、2シートずつ。

みんな進行方向を向いている。

町田康による中原中也本を読む。
言葉が鮮烈だ。
鮮烈、つまり、飾り立てたところがない。
数秒を見逃さず、肌で見ている。

わたしは、偽ってばかりいる。
神経を研ぎに出していない。

春は金の風が吹くのだよ。

月夜の晩に、釦を拾って懐に入れるのだよ。


ふと顔をあげると、窓の外、飛んで行く景色。

これもまた皆が前を向いたシートの良さだ。

旅に出たい。

温泉とかそんなのはどうでもよい。

ただ、前を向いて乗り物のシートに座り
どこかへ移動したい。

電車は泉岳寺止まりで
今度は向かいの電車に乗り換えた。

乗換は面倒だが、居場所が変わるから、決して嫌いではない。

次の駅で
元気のいいおじいさんたちが、ざわざわと乗り込んできたら
シルバーシートにいたガタイのいい背広姿が皆立ったので
車内は、少し窮屈になった。

目の前にいた工務店風の濃紺の制服を着たおじさんの
胸ポケットにペン2本、
そしてあの深緑色した鉛筆。2Bという文字が金色に光っている。

久しぶりにみた。鉛筆。そして2B。

私は文字を四角く書くのに凝っていたので
高校時代はもっぱらFを愛用していた。

2Bの柔らかさが苦手であった。

胸ポケットに入れているということは
しょっちゅう使うのだろうか。
線を引くのか、文字をしるすのか。

おじさんは、2Bで何をするのだろう。





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