2014年1月18日土曜日

静寂の湖面


仙台のSさんより電話。

今月のbsrの連載にはSさんの名前が出てくる。

高校生のときザ・ブルースに投稿して
それに対し手紙をくれて以来だから
実に30数年の間柄となる。

いや~、八面六臂の活躍だね~
昔はブルースしか聞かなかったのに
ソウルからゴスペルから、たいしたもんだね
と、身に余るお褒めの言葉。

原稿を書かされてるってんじゃなくて
愛情たっぷりなんだよね~

とこれまた、こそばゆいような。

そしていい年齢した2人して
いや~、でも結局は、誰かを愛したいんだよねぇと。

Sさんは独身だが、妹さんと姪っ子、甥っ子に
なんでもしてやろうと思って来たという。

そうなんだよねぇ。
私も最近気づきました。
誰かに愛されたいというより
愛情をかけたいのだと。



あのダイヤモンドリングよりブルースという連載は
私を育ててくださった皆さんへの
恩返しのような気持ちで書いている。

音楽がなければ、私がライターになることもなかった。
音楽がなければ、私が原稿を書くこともできなかった。

そして皆さんに会わなければ
今の私はなかった。

自慢に聞こえてしまうかもしれないが
以前タウン誌のE編集長が
後輩に取材の仕方について
一席ぶっていたとき

「せのおさんの原稿が何が違うかっていったら
安っぽい言い方になっちゃうけど、愛 だよ」
と言ってくださってぶっ飛んだことがあった。

なんじゃ、愛とは。


ときどき
私に一番足りないのは、愛、だと思う。
誰にでも好かれたい八方美人であると感じることはある。

私の心の一番下には湖がある。
薄暗い森の向こう。
風もなく、湖面も波立たぬ冷たい水辺である。

昔、あれは小学校のころだったか
先生が、私のことをイイ子だと言ったら
クラスで一番、勉強のできる男の子が
いい子じゃないやい! と言い放った。

私は、あ、彼は見透かしていると思ったものだ。

まぁ、今となっては
そこまで、自分のことを嫌なヤツだとも思わない。

ただ、湖面の存在が消えるということも、いまだ、ないのである。


女性グループ再び


コンペの時期であり、何かとあわただしい。

土曜日だが、I さん、出社中ゆえ 打合せ。

取り急ぎテキストをまとめる。

ブラウンズウィックのオデッセイ5という女性グループ
ヒットには恵まれなかったが、なかなかよい。

ネットで探っていたら
サンボマスターの山口さんが
これをソウルと言わないで何をソウルと言おうか!
と勧めていらして驚く。

彼女たち、数年前に再結成ライヴをしたようだ。

といっても、同窓会的に。

体型はでっぷりとしていたが
コーラスはなかなか。何より、皆それぞれに、
揃って歌うことがうれしい、その気持ちが表情に表れている。

いいな~。

http://www.youtube.com/watch?v=TPok21fnf9c

夜は、キャベツたっぷり焼きそば、味噌汁。

粛々と仕事。

2014年1月17日金曜日

ファンキーミーターズの夜


夜、六本木、ビルボードでファンキー・ミーターズ。

出かける前に急ぎの用事が入ったり、
なんだかんだで気ぜわしかったが間に合った。

一部にフジテレビのCS生中継が入った関係もあってか
ロビーは、終わって出てきた人
これから2部を待つ人で
いつも以上にごった返している。

今日は、カメラマンのMちゃん、ドラマーNちゃん
フロム富山、bsrでも話題のカラスさんと。

ほかにも、九州からTさん、、山梨 I澤さん、
浜松ビスケットタイムのお客さまの方に
声をかけていただいたり
Nちゃんのところにも九州の人が挨拶に来てたり。

パークタワーのころは、全国からいろんな方が来ていたが
あらためてミーターズ人気を思う。


始まる前にラッセル・バティステに手をふったら
テーブルまでやってきた。

Nちゃんはラッセルにスティックをもらったことがあるそう。

席はアートの真ん前であった。

アートは脇をかかえられ
杖をつきながら
おぼつかない足取りで出てくる。

階段を2段、3段上るのもやっと、という調子だ。

途中、目でスタッフ(息子?)を呼び寄せ
背中を支えてもらっていた。

今にも倒れるのでは、とハラハラしたが
そこはプロフェッショナル。
上半身の持てるだけの力で
コーラスにも参加。
一瞬のオルガンの音は押し寄せる波のように強力だった。

アートがそんな調子というのもあってか
全体の進行はジャム・バンド風加速。

前日の大阪のセットリストなどもちょっと見ていたのだが
だいぶ曲は違う。

Fire on the bayou ,Jungle Man などなど。

バンド全体のまとまりとしては、うん、もう一つな印象だったが
瞬間、瞬間の重量感、瞬発力は半端ない。

ドラムセットを壊すラッセル。
乱れ飛ぶスティック。

ブライアン・ストルツと、ジョージ・ポーターは
向かい合って挑発しあう。
ジャムるのが楽しそうだ。

椅子から立って踊る。

なんとなく消化不良ではあったが
久しぶりに体験したボトムの低いファンク。
感覚を思い出しました。

アートに来てくれてありがとう、と声をかける。


終了後、サイン会の列が。
やはりラッセルが
はりきって一番にやってきた。
ちょっと気になったが、遅くなったので帰る。

途中、なぜだか
いなりずしが食べたくなったけれど、
キュウリやカブの浅漬けでガマンする。


2014年1月16日木曜日

(オンガク)雑誌 ミーティング

夜、渋谷の居酒屋にて
H 編集長以下、Iムラさん、
若手のT野くん、H向さん、元P社のT本さん、雑誌関係者集まりミーティング。

これから長く続けていくために。

また新しい読者に訴えるために。

そもそも雑誌はどのように存続していくものなのか。

資料のほかに
気に入っている雑誌を各自もちよって。

前にも書いたが
先日の憂歌団のとき、CD販売コーナーで
「わたし、このアルバムを擦り切れるまで聞く!」
と、心からうれしそうにしていた女性のことを思い出す。

ちょっと驚いた。

その感覚を忘れていたのだ。

大事なアルバムは1枚でいい、のかもしれない。

いや、大事な一曲か。

あれもいいですよ、これもいいですよ
と、ルーツをたどっていく人とはまた別である。

憂歌団を聞いてブルースを聞くことはあっても
それは、どこかのバーのカウンターだったり
誰かの家であったり、するのだろう。

確かにそれでは産業としては成り立たない。

でも、そういう人たちが喜ぶメディアを作れないだろうか。


雑誌のアンケートでは
連載がまぁまぁ好評のようであり
うれしいような、驚いたような。

でも、読んでくださっている方がいる、それが一番励みになる。

ほめられて伸びるタイプ。
誰かが見ていると、がんばるタイプ。

この夜は、
ブルース関係の書物が少なすぎるとか、
オンガクメディアは、とかく知識優先になりがちだが
やはり読み物である以上、文章も大事だという
しごく、当たり前の話にもなる。

もっと能動的にライターさんに動いてほしいという話も。

編集長であり、ひとり編集者であるHさんの苦労もわかる。

一緒に盛り上げていきたい。


余談だが、6人ちゅう2人は、最初からソフトドリンク。
途中からは、私を含め4人がソフトドリンク。
いかの一夜干しと、つけものをつまんで。つまみは好き。

バーの人が皆、飲まなくなったと嘆いているが
この状況を見ても、やはりそんな傾向だ。

零時少し前に帰宅。

2014年1月15日水曜日

知らない顔 あふれる才能


午後2時頃になると
お昼ごはんを食べて
おなかいっぱいということもあり
ぼんやりしてくる。

今日も、あれ、こんなクラシック聴いてたっけ?
と我に返ってみれば
ダニー・ハサウェイであった。

未発表含む4枚組には、20分に及ぶコンチェルトが
収録されているのだ。

彼の中にはどれだけの才能が溢れていたのであろうか。

これを許したアトランティックも度量が大きかったとは思うのだが
その後のことから察するに
それくらいでは、
到底ダニー・ハサウェイを受け止めるには足りなかったのだろう。

人には、何かしら
自分を表現する手段が必要だ。

ダニー・ハサウェイが自己の中に沈殿し
よどみ続け、時に沸騰する何かを
オーケストラに映したのが
正解だったのかどうか、それはわからない。

ますます袋小路にはまってしまった可能性もあるだろう。

いずれにしても
ダニー・ハサウェイという人は
ソウル・ミュージックを歌うということだけでは
満たされなかったんだろう。

未発表曲が奏でる旋律の繊細さには
いくども、はっとさせられる。

穏やかに波だつ、彼のこころが見える。


******

まったくスケールの小さな話で恐縮だが
愚息も先日オーケストラ・アレンジを担当したらしい。
そんなことができるのか、と半信半疑であったが
PVには、オーケストラの前に立ち
真剣な面持ちでリズムを録るヘッドフォン姿の彼がいた。

知らない顔、
誰にだって、あるものだ。

そういえば
アイスクリームはバニラしか食べないと思っていたのに
彼は、差し出したうち
キャラメルラテ味の方を選んだ。

人は変わる。

私は本当はチョコとかイチゴ味が好きだ。

仕方なくバニラを食べたが
これはこれでおいしかった。

思い込み。



夕方、急ぎの仕事の相談。

見積もりを出す。

よくしていただいているので
あまり高いことを言いたくもないが
食べていかねばならない。
他のスタッフにも関係することだ。

見積もりはいつも難しい。

夜は、オム焼きそば、トマト、ネギ・タマネギ・ワカメの味噌汁。


友川かずき「一人ぼっちは絵描きになる」
を聴いて、息を呑む。

ブルースではないが
ブルースのようなもの。
この感動をつなぎあわせて紹介したいのだ。

2014年1月14日火曜日

整形外科のBGM


13日。

旗日だが、仕事。

どこからも電話やメールのない日のほうが
特にまとまった原稿は書きやすい。

bsr誌の連載「ダイヤモンドリングよりブルース」も17回目だ。

こんなことを書くべきではないのだろうが
昔の自分と対峙しながら
音楽界全体を見渡す作業は
予想以上に消耗する。

今年はインタビューにも行きたい。

昼は、パンケーキ。イチゴ。

夜、麻婆豆腐、プレーンオムレツ、ほうれん草とトマトのサラダ、私は浅漬けも。

美味しい漬物があればそれでいい。

母から受け継いだぬか床は、ダメにしてしまった。
ぬか漬け、またやってみたいのだが。


14日。

夕方、整形外科へ。

まぁ五十肩かと甘く見ていたら
最近は肘や、手首まで痛くなってきたので
看ていただく。

K先生は、せっかちだが
とてもフレンドリー。
話しやすいし、丁寧に説明してくださるので好きである。


結局、五十肩ではあるが
肩の腱を傷めて
そのままかばって動かさないでいたため
固くなってしまった、ということらしい。

そんなに軽症ではないようだ。

レントゲンを見る。

(石灰化を心配していたが)きれいですね。と言われ、
骨のことなのに、ちょっと照れくさい。

別室で肩を温める。

こないだの交番より少し塩梅のいいパイプ椅子。

15分じっとしているように言われ、少々とまどう。

2人の看護婦さんは
あまり忙しくないせいか
手持ちぶさたにしている。

本当はあちこちきょろきょろしたいのだが
目を合わせてはいけない気がして
目をつむる。

BOYS II MEN が聞こえる。
BGMはさっきからこの手のコーラス、R&Bである。
誰の趣味なのだろう。先生?

うん、意外にそうなのかも。



2014年1月13日月曜日

大人になったあのころ。


やたらに眠い。

胃が重い。

昨日贅沢をしたからだろう。

昼間からデスクの上に突っ伏して寝る。

起きるとYくんが、おなかがすいたので
ケバブを食べたいという。

トルコ人の叔父&甥でやっているケバブ屋さんとは
仲良しだ。そして美味しいので、週に2~3度でも飽きない。

しかし飽きないといっても
そこまで肉が食べたくなかったので
スパゲティにしてもらう。
Yくんは、いつものケバブ丼。

店を任されている甥っ子のAくんはまだ二十歳。
成人式に行きたいと言っていたそうだ。

家の周りでは見かけないが
場所によっては、着物姿の人たちで華やいでいるのだろう。

私のときは、一番ブルースにどっぷり
へその曲がっていたときであったので
着物を作ってもらったものの
「こんな高いモノもったいない」
とか何とか言って
写真を撮るときも、ぶつくされた顔をしていた。

高校の卒業アルバムも一人ひとりポーズをつけて
撮るスタイルだったのだが
カメラに向かって作り笑顔なんかできるかい!
と、突っ張っていたのだ。

可愛くないヤツ。

いまは、いくらでもニコニコ致します。

誰に魂を売ったのか。

息子のことをふり返れば
成人式のことは覚えていないが
あ、大人になったな~と感じた時のことは覚えている。

でかけてほどなく戻ってきて
「雨が降りそうだから、傘がいる」
と言ったときだ。

あ、自分で空を見て判断できるようになったのだ、と思った。

それまでは傘を持っていけ、何を持っていけ、と
言われるがままであった。

夜は、私の自転車がないため
そのYくんの自転車を
おっかなびっくり操りながらスーパーへ。

どうしてもイチゴが食べたくなって
一回りしてからもう一度野菜売り場に戻ってカゴに入れる。

青島ミカンも。みんな398円だ。

ふだん、フルーツは概ね私しか食べないので
もったいような気がして、なかなか買えない。

それで自分への言い訳のように、
Yくんに
「イチゴを食べな」と勧めると
めずらしく1粒、口に入れた。



2014年1月12日日曜日

ごはんと音楽


布団の中でiPad。

死語ではあるがネットサーフィン。

起きだして、
コンビニで売り出した金の何とかという厚切りの食パンで
ハム、チーズのトースト。

ノース・ミシシッピ・オールスターズ『ワールド・ブギ・イズ・カミング』を聴きながら
原稿書きをする。

ルーサー&コーディーのディッキンソン兄弟と
ベースのクリス・チュウによる3ピース・バンド。

兄弟は、ディランやライ・クーダーをプロデュース
またキーボード奏者としてアトランティックなどでも活躍したことでも知られる
ジム・ディッキンソンの息子。

いわゆる2世ミュージシャンだ。
ルーサーはブラック・クロウズのギタリストとしても活躍している。

今回はロバート・プラントがゲスト参加。

ミュージック・マガジン誌 ロック [アメリカ/カナダ]部門年間ベスト10 3位である。
渋谷のタワレコでは、ブルースと背中合わせの
ブルース・ロック・コーナーに置いてあった。

あれ、同じアルバムだっけかな、と何度も曲名を見直すくらい
様々な要素がぶっこまれている。

混沌、という言葉が似合う。

オーソドックスなブギ~から、ブルーグラスみたいなのから
オサー・ターナーのファイフが、ぴーひょろひょろと流れ出すやつまで。

「ローリン&タンブリン」のブギー盤は
ライヴでは大盛り上がりだろうが
割とありきたりな印象だ。

やっぱり、ヘン なやつが面白い。

「南部では音楽は家族全員でやるもんなんだ」
と以前何かのインタビューで答えていたと思う。

さぁミシシッピの伝統を受け継ぐぞ!などと
力こぶを握りしめなくても、
家メシを食べるように、このアルバムで聞けるような
いろいろな音楽をやっていくんだろう。

そういえば、そのインタビューで
南部は音楽と食べ物が違うとも言ってたっけな。

ごはん、と 音楽、この関係はすごく大事だ。

ごはん、と ヘンな音楽への感性も関係あるだろうか。




で、夜は母と弟が出てきたので
築地でお鮨をごちそうになる。

キンメ(千葉の勝浦産だった!)の炙りと
カワハギがすごく美味しかった。

お酒があれば、白子ポン酢をいただきたかったところでした。