2016年4月29日金曜日

0428 老年期

こころを落ち着けようと買ったMUJIのアロマオイルは
なかなかよい。

緑色のくすり瓶には
ひらがなで「くだもの」。

スイートオレンジ、ブラッドオレンジ、レモン、ジュニパーベリーのブレンドだ。

店頭ではじから匂いをかいで、決めた。

迷い始めたらダメだ。

ぴたりと気に入った匂いにあたるときは
感性の芯がぶれていないということ。少しほっとする。

なにしろ
最近、語彙が貧困だと思う場面が多々ある。

本を読み、ラジオに耳を傾け培ってきた貯金が
尽きてきたのかもしれない。

音楽もそうだ。

常に流し込んでいなければ
感じる心も渇いてしまう。

身体の各部は衰えうるおいが減っても
心だか頭にある土のような広がりは
みずみずしさも、柔らかさも、保つことができるのだ。

身体といえば、
先日、婦人科検診にかかったとき
そうだ、ついでに更年期のことを尋ねてみようと思った。

特に触診では問題ないようです。何か心配はありますか、と
夕方で少しお疲れ気味に見えた女医さんに言われたので
「あ、えーと、更年期なんですが・・・・・・」
と言いかけると
センセイは改めてカルテに目を落とした。

「うーんと・・・もう更年期は問題ないんじゃないですか。
これからは骨粗しょう症に気をつけてください」
だと。

更年期を心配しているうちが花だったか。

大人になるとかならないとか迷っていた時期を
とうに通り越し、いよいよ老年期を迎えるのである。

何か変えなければならぬのか。

それでもバッグはピンクかオレンジがいいし
10年前に来てたワンピースもまだ着るぞ。
まつげもまだ、くるんとカールさせるぞ。




2016年4月28日木曜日

ある日

キャミソールの上にブラウスを着て
よれよれのズボンを脱いで放り、スカートを履く。
上に羽織るのは無難にジャケットでいいだろう。

鏡を見るとごく平凡な五十女が映っている。

いやごく平凡には違いないのだが
グレーのスカートに無地のジャケット。
あまりに無機質ではないか。

ジャケットを少しカジュアルなものにかえてみる。

役所で仕事だ。

自分とは一番遠いところにあると思っていた場所での
仕事をして10年あまりになる。

人に恵まれているが
やはり窮屈に感じることは多い。

若いころ、ある会社に連れられて行ったが
ドアをあけただけで違和感を感じ
むかむかしたことがあった。

今はだいぶ耐性もついたが
役場のようなところで一生を過ごすだけの我慢は
無理だなあと思う場面が多い。

我慢しなかったから今窮しているのだろうと
人は言うだろうか。

やりたいことをやろう、と改めて思う。

窮しても後悔するより、よいではないか。

逃げるのではない。
今いるこの場所だけがすべてではない、ということに
気づくことが大事なのだ。

役所を出てヘッドフォンを耳にさす。
脳みそに役所言葉以外の言語と響を流し込む。

ゴトウゆうぞうさんの歌声が聞こえる。
一般には、ブルース&ソウルカーニバルの司会者として
有名かもしれないが
ゆうぞうさんは、イマジネーションにあふれ
実にアーティストとして豊かな人だ。

ブルース、フォーク、ロック、沖縄民謡
呼び名はなんでもよいが
日本のルーツミュージックの継承者の一人であると信じている。