葬祭用のバッグを引っ張り出してよくみたら、角がすれていた。
困ったなあ、と2つのバッグに分けていると
貸してあげましょうかと息子。
気持ちはうれしいが
しかし、さすがにporterのショルダーというわけにはいくまい。
最近は、もう黒ければ構わないわよねえと
叔母たちも集まるとうなずいているが
いくぶんフォーマルな黒いバッグがほしい。
あなたの持ちものは、赤いのばっかりですからね。
息子はそういって私を送り出した。
五反田。
バスの発車まで時間があったのでコンビニで、
白のハンケチ、そして、コーヒー。
手持ちのハンケチの類はみんな柄ものだったのだ。
クジをお引きください、と促されるままに
クジボックスに手を入れると
「アタリです。お持ちになりますか」
と店員さん。
反射的に、はい、と答える。
だいたい、この手のあたりは
店内にある、ちょっとしたお菓子か、ドリンクなのだ。
だが、こともあろうか
店員さんが持ってきたのは
箱に入った太田胃酸だった。
面食らう。
まあ胃が弱いのだからいいかと思いながら
小さなバッグにぎゅうぎゅうと太田胃酸を押し込んだ。
葬儀も精進落としも終わり
帰りはいとこの車で五反田まで送ってもらえた。
そしてそのまま新宿のタワーレコードへ。
帰りは真っ黒装束に黄色いタワレコの袋がワンポイントになった。