2014年3月12日水曜日

バルテュス

今回、美容院では若いお嬢さんが「エル・ジャポン」と「VOGUE」
を持ってきてくれた。

お店の人が勝手に2冊持ってきてくれるので
あたり、はずれは賭けである。

以前、女性週刊誌だったときは
意を決して開いてみたものの
どうにも気持ちがびちびちと裂けてささくれ立つような書き口が目立ち
これなら、モノマガジンや、男性誌の方がいいのになぁと思ったものだ。

「クロワッサン」のときは、あたりでもはずれでもない、気がする。

今回はポップなファッションも好みで、当たりの予感。

で、髪を切ってもらっているときは
ペイジをめくれないたちなので
クロスをかけてもらい待っている間、
美容師さんが他の人のところに行ってる間に
面白い記事はないかと
後ろのコラムのところから素早く目を動かす。

「エル・ジャポン」4月号。
ウォーホルのマリリンモンローが、どーんと1ページに。

「アーティストとミューズの知られざる物語」

先日、六本木通りでウォーホル展のラッピングバスを見かけて
気になっていたところだ。

文章は会田誠さん。ぴったりの人選だろう。

しかし、私をくぎ付けにしたのは
合わせて特集されているバルテュスのほうだった。

椅子らしきものに身体を預けて、けだるさそうに目をつむる少女。
片膝を立てているものだから、赤いスカートがめくれ
下着が丸見えだ。

その足もとでは、含み顔の猫が白い皿で白いミルクを舐めている。

「夢見るテレーズ」という作品だ。

当時は当然、扇情的なポーズと批判されたようだが
少女とは、これ、自然な格好だ。
これが少女だ。

すきだらけ、が少女の証。

少女は天使などではなく、善も悪も、ありのままである。


解説は、「爪と目」で芥川賞を受賞した作家、藤野可織さん。

内容も、少女にスポットをあてたものであった。

フランス人のバルテュス。
奥様は日本人である。

節子・クロソフスカ・ド・ローラさん。

30いくつも年齢の違う節子さんは、来日時に知り合ったバルテュスと
25歳のときに結婚し、彼の影響で絵を描くようになった。

「朱色の机の日本の女」には、しどけない姿だが
救いを求めるような憂いのある表情の色白の女性。
モデルは節子さんのようだ。

しかし、写真で紹介されている節子さんは
和服を着た凛とした方であり
その人がこんな表情、姿を露わにすることもあるのかと
少し驚く。

その表情には
夫であり芸術家であるバルテュスへの揺るぎない信頼が
あらわれており、圧倒された。

まだ私にとっては、美容院の待ち時間で出会ったばかりのバルテュス。
少し調べてみよう。


ピカソをして「20世紀最後の巨匠」と言わしめた画家バルティス。
4月から節子夫人全面協力のもと東京都美術館で大回顧展。
「朱色の机の日本の女」も
日本で初公開となる。

http://balthus2014.jp/

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