2014年4月18日金曜日

上野の山

そういえば先日上野公園に行ったのだ。

人でいっぱい。

人だ、人。

千葉に生まれ、埼玉で育った私にとって
東京で親しみのある街といえば
これ上野、あるいは神田である。

東京に行くと言えば
上野、浅草、神田だった。

上野は動物園か博物館、それと聚楽というレストラン。
正月の準備でなくとも
アメ横にも必ず寄ったかもしれない。

浅草は仲見世か花やしき、それに天ぷらの葵丸新。
神田は古書店街。そして三省堂、東京堂の2つは必ずである。

おそらくは、父親の趣味である。

博物館の石造りの壁や階段のひんやりとした冷たさ。
茶色っぽい古書店の匂い。

子ども心にも喜んで騙されてうれしい花やしきの原色の世界。
聖と俗がまぜこぜになった浅草のにぎわい。

聚楽というレストランでは
ガラス張りになった足もとで
コイが悠々と泳いでいた。

あの世と浮き世を行き来できるようなまち。
表と裏があることを心おきなく見せてくれるまち。
いろいろな匂いのするまち。

齢重ねるにつけ
あの頃吸い込んだものが
私の土台を作ったと強く感じるようになっている。

ところで上野のお山だ。上野公園。

上野の山は標高が20メートルあるという。
もともとは上野の台地だ。
天海僧正は不忍池を琵琶湖に見立てたんだったっけ。

パンダ焼きだの、なんだかよくわからないパンダ撮影会だの
吹き上がる噴水だの
走り回って転んで泣く子どもだの
どこから来たのか素性の怪しいおじさんだの
桃色の提灯の下で花もないのにシート引いてお酒飲む人だの。

だけどロダンの考える人がいたり
アカデミックな展覧会やってたりもして。

あぁ上野だねえ。

楽しいけど、なんだか泣きたくもなるねえ。

あとで一緒に行った人のブログを見たら
幸福めいたあの頃を思い出す云々とあり
やっぱりここにはそういう作用があるのかなと思ったりした。

私のすきな武田百合子さんには
「上野東照宮」「上野不忍池」という傑作がある。
(いずれも『遊覧日記』収録)

その中で百合子さんの娘Hさんは言うのだ。
「わたし、なんだかどんどん楽しくなってきた。昨日は×××を観に行って
今日はここにいてビールを飲んでる。あまり楽しくて不安になってきた」

あぁ、楽しさとはグラスから溢れると不安に変わるのかな。
不安の泡。





2014年4月14日月曜日

青山Tin Menの夜に。

月曜。青山に再びニューオーリンズから来たTin Men を観に行った。

日本のバンドも頑張っていたけど
Tin Menは、さすが太いというか深かった。

音楽が湧いてくる。

もとの音楽がザ・フーだろうとツェッペリンだろうと
カントリー・ミュージックだろうと、ジャズだろうと。

彼らの中に広がる音楽の世界は深く、広い。

それでもって
それが彼らのテクニックと発想力で
がしがし拡張されていく。

聞いてきた量も半端ないのだろう。

先日私はアラン・トゥーサンに、最近音楽はやりつくしたとも言われますが
と、とんでもないことを尋ねた。

すると、トゥーサンは穏やかな笑みを浮かべながら
そういうのもわかりますが
音楽は終わりのない旅ですとおっしゃられたのだ。

Tin Menを観て、私は、その意味するところを
身体で感じたような気がした。

音楽は限りない。

限りをつけているのはミュージシャン、そしてリスナーその人自身だろう。


ところでゲストの中では
アンディことアンドウケンジロウ(exカセットコンロス)のクラリネットが抜群にスウィング、
とてつもなくファンキーだった。

バンバンバザール時代から、好きなプレイヤーでしたが
久しぶりに観て、驚愕しました。

楽しみだなぁ。

一期一会だから
一度のステージで評価が分かれてしまうのも
これ仕方ないけれど
反面、一度で評価を定めてしまうのもやはりよくない。

ミュージシャンとは長いおつきあいをしていきたいものです。




2014年4月13日日曜日

3年後にいいことが?!

12日土曜日。

横浜ジャグバンドフェスティヴァル。

近いようで遠いヨコハマ。
なかなか来ない湘南新宿ライン。
渋谷で乗り換えると、深さ遠さにほとほとあきれる東横線。
というわけでもないが
今回は京急線に乗っていった。

無料会場のビブレ前広場で
ニューオーリンズから来たTin Menを観るという贅沢なり。

地べたに座って観るのは
膝が痛いけど楽しい。

とにかく地べたがすき。

あわただしかったけど
ムーニーさんにもあえてよかった。

婦人部幹部も期せずして集結。

居酒屋けいこ、では三番のひーちゃん。
早い時間なので
まだ酔いつぶれている人はいなかった。

今年の新会場、平沼橋下特設ステージには
タイカレーなど、おいしそうな屋台も。

ほか、とにかくいろいろな人に会う。
去年は、ジャグバンド講座に出演はしたものの
概ね一人でうろうろして
結局、モスバーガーで何か食べたりしたんだったが
今年は話す人、挨拶する人も多く楽しい。

サムズアップの前で、おねえさんが100円で手相を観てくれた。

過去はいろいろ迷いが多かったが
今は迷わず自分で決めて進んでいると。

ほぉ。そうかねえ。
ところで、あの~わたし、バツイチなんですが結婚線が1本しかないんですよ。

「どれ、離婚したの何年前ですか。その人のことが今もすきですか」

いやいや、もはや好きとか嫌いとかではなく、
強烈な影響力をお持ちの方なんです。

「3年くらいすると、いい人が現れるかも」

ほぉ。何か変化するかねえ。
あれ、3年したらいくつよ、私。

このおねえさん、整体もしてくれるのだが
あとでFacebookに
今年のジャグフェスで一番ヒットしたのは
整体と占いと書いていた人があった。

そんなこんなで
音楽以上に楽しみ多き
一年に一度のお祭りだ。

ただバンドが集まるんじゃなくて
こうして人と人とが交わるポイントが多いから
これだけ盛り上がっているのでしょうね。