こないだ井の頭線のホームで、下りの急行電車を待っていて
おやと思った。
向かい側のホームで上り電車を待っている人たち
誰もかれも、黒い。
ファンキーじゃないよ。
来てる服が、黒いのだ。
真っ黒ではないとしても、よくてベージュとかグレーとか。
マフラーもまた似たような色。
ふと私の周囲を見ると、これまた
デートらしきカップルにせよ
母に手を引かれた幼い子どもにせよ
ほとんどが黒い、あるいは茶色い。
で、わたしはと言えば
とき色のもこもこコートに、ピンクがかった朱のスヌード、
背中には、ピンクとベージュのコンビリュックを背負って
赤いカートを引いている。
ブーツは茶色。かろうじてベレーがグレーでタイツが黒だ。
まさか、と思い
もう一度見回したが
やはり、黒い、茶色い、灰色い。
私の見ている世界には
いつも赤いもの、桃色のもの、トキ色のもの
黄色というよりイエローのもの、鮮やかなグリーンのものがあふれている。
でも、それは誰にでも見えているわけではないようだ。
電車を降りて
改札を抜ける人をまた意識して眺めたが
やはりほとんどが黒い、茶色い、灰色い。