ちょっと前になるけど7日金曜日。高円寺。
『イマドキの[部活動]中学校の現状に問題提起!』
(リーフラス株式会社監修/ODECO子ども生活研究所編集:メタブレーン)
の出版パーティに出席した。
一部、取材、執筆をさせていただいた本。
文字通り、テーマは中学校の部活動なのだが
イマドキの中学生というより、むしろイマドキの中学生を取りまく社会を描いた本と
いってもよいかもしれない。
確かに中学生はオマセになったかもし
周辺文化は驚くほど変化したけれど
本質のところはさほど変わらないんじゃないだろうか。
そういう意味でも、すべてのオトナの皆さんに読んで頂きたい本です。
パーティでは、インタビューした深田悦之さんにも再会。
深田さんは、杉並区立和田中学校の女子硬式テニス部コーチだ。
でも先生じゃないし、教員免許も持ってないし、自身にお子さんもいらっしゃらない。
職業はミュージシャンである。
今、中学校では教師の負担を減らす目的もあって
外部指導員と称したプロフェッショナルの登用をはかっている。
とにかく深田さんは、ひょんなことから中学校の女子を指導することになってしまった。
さらに廃部寸前と思われた硬式テニス部を都大会出場にまで導いてしまう。
キセキである。
私は誰かユニークな指導で部活動の成果を上げている人は
いないだろうか、と探しているときに、深田さんの著書と出会った。
『オレがコーチかよ!?』 (毎日新聞社)
がそれである。
だが、それ以上に私の目を引いたのが
『中学校でブルースかよ!?』毎日新聞社)だった。
■3コードと中学生
思いがけず、音楽の授業でギターを教えることになった深田さん。
ギャランティは「給食」という
ある意味プロに対してあるまじき条件の中で
とまどいながらも生徒たちと
ブルース・セッションをやることを提案し
ギター1本「スウィート・ホーム・シカゴ」をぶちかます。
もちろん、というか、やはりというか
生徒たちはぽかーん。
だが、シンプルな3コードから始まったセッションは
いつしか突然現れた場違いなミュージシャンと
中学生たちの距離を縮めていくことになる。
深田さん自身は決してブルース・シンガーではないが
ご自分の視点で“ブルース”をとらえて
15歳の子どもたちに直球で投げかけているところが
すごくよいなぁと思った。
まさに私の考える一人一人の中にある
“ブルースを感じるもの、それがブルース”に
通じる感覚にひかれた。
何度か学校の取材をして感じたのだが
学校という場所は、
さまざまなオトナの思惑が渦巻く所でもある。
地域だったり、政治だったり、時には企業だったり
いろんな影響を受けて成り立っている。
そこに深田さんはミュージシャンらしい直感で
こうしたほうが、おもしろいよね
このほうが、気持ちいいよね
これならモチベーションあがるよね!
というやり方を持ち込んでいる。
ごくごく自然なことなのに
学校という現場では
意外に見過ごされていた何かがそこにある。
さらに。
ロック・ミュージカル「ヘアー」でデビューし
プロデューサーやディレクターとして
華やかな世界で仕事をしてきた
深田さんは、40歳をすぎて
ストリート・ミュージシャンになった。
さらに子どもたちと出会ったことで
50にしてロック・バンドを始めることを決意する。
不機嫌で、気まぐれで、でも悩み多き15歳とのやりとりは
自分がこれからどうして生きていこうと
真剣に考える50歳との
コール&レスポンスにも見える。
だからこそ本もライヴ感がある。
ただの教育論ではないからおもしろい。
ブルースというキーワードを通じ
思いがけずステキな方に出会えたことに感謝!である。
◆深田悦之さん公式サイト
http://home.a00.itscom.net/edge/index.html
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