午後六本木。
春から代わった担当者は
いわゆるデキル人ではない。
最近ずっと翻弄されている。
で、昨日気づいたのだが
この方は、ありがとう、とか、すみません、といった
言葉を発しないのね。
たとえば、ちょっと修正した誌面をお持ちして
「いかがですか」
と尋ねると「うん、いいと思う」
と答える。
えらそぶってるわけではないのだが、
あっちこっち、的がはずれている。
家でもそうなのかなあ。
別にお礼を言って欲しいわけじゃないけど
持ちつ持たれつ、という感覚が薄いのかね。
父は、人に会ったら
お礼を言うことはないか考えなさいと言ってたな。
うちの息子は、夜食を用意しておいた私に、ありがとう、と言うぞ。
それを聞くと、あれ、こいつはイイ奴だなぁと思うのだ。
大間違いな育て方はしてないな、と胸をなでおろすのだ。
そして私も、ゴミ捨てしてくれたりしたら
ありがとう、と彼に言うようにしている。
前にも書いたような気がするが
昔シカゴに行ったとき
お世話になった日系のおじいちゃんがいた。
バスに乗る私をいつまでも見送ってくれた人。
帰ってからお礼をしなきゃと思いながら
ずるずると過ごしているうちに
亡くなってしまった。
お礼に明日もあさってもない。
もしかすると、その時しかないのかもしれない。
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入稿原稿を届けた後
六本木ヒルズの夏祭りに寄り道。
友人は家でごはんが待っているので
屋台にも寄り道せず
66体並んだドラえもんと写真を撮っただけだが
束の間の都会の夏休み。
カップルにも邪魔されず眺めた東京タワーは涼しげだった。
バスで渋谷まで
蒸し暑かったが、HMVに寄り道する。
閉店間際だったとは言え、すいている。
そして、やはりここは男の世界。
せっかくなので
ボビーブランドの7inchを1枚買う。1000円。
1階でポータブルレコードプレーヤーの試聴など冷やかす。
のっかってたのは
George Bensonの7inch、曲はTurn Your Love Aroundだったっけ。
この曲を聞いた途端
思いがけず過去がよみがえり、いろんな思いが
絞り出されてきた。
一杯ひっかけた男女や
笑いがとまらないといったグループをすりぬけながらの
帰り道は
ちょっともの寂しい気分。
書類とiPad、シングル盤1枚入れたバッグで
肩からカーディガンがずり落ちる。
湿気で、あっち跳ね、こっち跳ねの
汗だく、くしゃくしゃヘアスタイルは
昔、雑誌で読んだデキル女の姿とはほど遠い。
でもこれが
独りで生きていく、わたしということだ。
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