タジ・マハールの『An Evening of Acoustic Music』
を聞きながら、実家に帰る。電車でおよそ1時間半。
アルバムは「スタッガ・リー」で始まる。
93年10月、ドイツはブレーメンでのライヴ。ほとんど弾き語り。
で、ほとんどでない部分に入っているピアノやチューバ、バンジョーが
これまたよい。
ジャケットも凝っている。
彼の中ではあまり話題にならないアルバムだけど
電車に揺られながら、うつらうつらする身体にも
しっかりと入ってくる歌、そしてギター。
私はタジ・マハールが大好きだ。
余談だが、インドの白いあれは、カタカナでタージ・マハルと書くらしい。
家に帰っても何をするわけではない。
ほぼ1日じゅう、大きな音でテレビがなっている。
80いくつになる母が元気そうでほっとする。
母にはあと何回会えるのだろう。
私はいつまで、娘としてふるまえるのだろう。
帰るとき、これが最後にならなければいいなあといつも思う。
あとは弟のF彦くんと、工場のネコたちと。
F彦くんとは、音楽談義、および工場の仕事談義。
車の中で、バーバラ・リンのジャパン・ライヴを聞いて
あの頃の話に花を咲かせる。
週一回、母を病院に送るため嫁いでいる妹のRちゃんも来る。
Rちゃん、ケーキを買ってくる。
Rちゃんとは化粧談義。インテリアの仕事談義。
実家にはなぜ食べ物がいっぱいあるのだろう。
私は箱入り娘だと誰かが言った。
家にいつも引っ張られてこの年齢になってしまった気はする。
映画でも家族ものにはからきし弱い。
オズの魔法使いの映画の最後で
「やっぱりお家が一番だわ」
というセリフを聞いたとたん、涙があふれて往生したことがある。
そんな家をつくれなかったわたし。
基本的に実家には過去しかない。
あのころのままだけれど
あのころのままではないと思いながら
帰りの電車ではまたタジ・マハールを聞いた。
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