新宿に行ったついでに
ぶらぶらした。
久しぶりのぶらぶらだ。
何回かメールを見たが
いいのか悪いのか
重要なメールは何も来ていなかった。
途中、「ベルク」でジャーマン・ブランチを頼んだ。
カウンターで待っていると
間違えてホットドッグが出てくる。
それでもいいですよ、と言おうとしたら
厨房の2人が、さささっと作り直してくれた。
何ごともなかったように。
レジのおねえさんが、2人に「すみません、間違えました」と
明るく声をかける。
なんだか、その空気がよかった。
他の店なら、申し訳ありません、と客に向かって
時に必要以上に謝るのが常だろう。
でもそれをせず、客の心を波立たせる前に
おさめたのだ。
店内は相変わらず混み合っており
ようやく、きちきちと並ぶテーブルの一番はしっこを確保した。
向いに座る椅子もない、お一人様席に
壁にひっつくようにして座る。
店に入ったときはレゲエが流れていたが
今は、Lovin Youが聞こえている。
ジャーマン・ブランチは
黒と白のパンが一切れずつと、2種類のパテに、ザワークラウトとハム。
それだけなのだが、何しろパテがうまい。
ネットで☆なんかつけるなよ~
これに☆付けるのは無粋だよ~ と
思いながら、隣の人に肘がぶつからないように食べる。
隣の背広のおじさんは2杯目のビールだ。
正確には「エーデルピルス」だ。
長くエーデルワイスだと思っていた。
だいたいビールの名前だと思わなかった。
これがまたやけに美味しそうなのだ。
ぎゅうぎゅうだし、張り紙はいっぱいあるし
雑然としているのになんだか、ありがたい。
皆、それぞれ自分の身体の大きさに見合うスペースで
それぞれのことをしている。
2人のテーブルも、声高に話している人はいない。
ブレンドを飲みながら、写真を撮らずに紹介する、ということを思う。
食べもんの写真はアクセスが増えるという。
私も食べもんの写真は嫌いではない。
でも、川本三郎さんの本でも、なぎらさんの本でも
武田百合子さんの本でも、写真はないか、ほとんどないのに
目の前に景色も匂いも音も浮かび上がってくる。
店の名前も、住所も、電話番号もあえて載せる必要なんてない。
ただ、この世にあるということは、これでもかと伝わってくる。
そういう文章を書きたい。
次に、新宿という街のことを思う。
学生のころ、「新宿と渋谷、どっちが好き?」と聞かれて
少し迷ったが「渋谷」と答えたら
友だちが「そうなんだ」と少し笑った。
新宿、と答えた方が大人っぽいムードなのはわかっていた。
だが「東急ハンズ」のある渋谷が好きだったのだ。
今は、迷わず、新宿である。
ジュンク堂がなくなったとき、あぁ、もう終わりだと見放しかけたが
まだ「ベルク」があるではないか。
(そう、ディスクユニオンもあります)
ベルクがあるから新宿が好き。
新宿には、まだいくらか迷い込める隅っこが残っている。
http://www.berg.jp/ (公式)
http://ameblo.jp/love-berg
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