2016年4月28日木曜日

ある日

キャミソールの上にブラウスを着て
よれよれのズボンを脱いで放り、スカートを履く。
上に羽織るのは無難にジャケットでいいだろう。

鏡を見るとごく平凡な五十女が映っている。

いやごく平凡には違いないのだが
グレーのスカートに無地のジャケット。
あまりに無機質ではないか。

ジャケットを少しカジュアルなものにかえてみる。

役所で仕事だ。

自分とは一番遠いところにあると思っていた場所での
仕事をして10年あまりになる。

人に恵まれているが
やはり窮屈に感じることは多い。

若いころ、ある会社に連れられて行ったが
ドアをあけただけで違和感を感じ
むかむかしたことがあった。

今はだいぶ耐性もついたが
役場のようなところで一生を過ごすだけの我慢は
無理だなあと思う場面が多い。

我慢しなかったから今窮しているのだろうと
人は言うだろうか。

やりたいことをやろう、と改めて思う。

窮しても後悔するより、よいではないか。

逃げるのではない。
今いるこの場所だけがすべてではない、ということに
気づくことが大事なのだ。

役所を出てヘッドフォンを耳にさす。
脳みそに役所言葉以外の言語と響を流し込む。

ゴトウゆうぞうさんの歌声が聞こえる。
一般には、ブルース&ソウルカーニバルの司会者として
有名かもしれないが
ゆうぞうさんは、イマジネーションにあふれ
実にアーティストとして豊かな人だ。

ブルース、フォーク、ロック、沖縄民謡
呼び名はなんでもよいが
日本のルーツミュージックの継承者の一人であると信じている。


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