遅ればせながら。
先日ご紹介した『不惑のアダージョ』と同じ
井上都紀監督の『大地を叩く女』についても
触れておきたい。
主役は、パンチの効いたブルースなどで活躍するドラマーのGRACE、
と聞いていたから
ふーん、力強く生きる女性が主役なのね、ぐらいの気持ちで見始めたところ
のっけから自分の甘さを恥じた。
GRACEは肉を叩いていたのだ。
GRACE演じる千春は、恋人からDVを受けている。
赤い肉を扱う肉屋のオンナが、私生活では彼に殴られている。
生身すぎる。
この肉屋で働く同僚を演じるのが
マダムギター長見順、かわいしのぶ ら、バンド・メンバー。
厨房で、肉を刻み、ソーセージをつめる間に
セッションが始まる様は痛快だった。
コール&レスポンスは
誰かと自分だけじゃなく
自分の中の自分とのかけあいなんだ。
そして、ビートは希望だった。
そうそう、セリフを言うマダムも、かっこよかったよ~。
『不惑のアダージョ』にしてもそうだが、
できれば一人ではなく、誰かと観るか
観た後にどこかで感想を口にすることをおすすめする。
なにしろ、一人で背負うと結構、重い。
同じ女性として思い当たる節があるから、
なんだか後ろめたい気もしてしまう。
女はどこかナマミで生きることに蓋をしている。
時に楽をしている。
でも、希望はナマミを認めたその先に待っているにちがいないのだ。
ニッキ・ジョバンニのような黒人女性文学的な匂いをも
感じさせる井上監督。音楽ファンとしても目が離せない。
http://www.rainbowgrace.net/daichi/comment.html
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