朝7時過ぎと、夜7時過ぎ。
女性の怒鳴り声が聞こえる。
時に朝、それで目が覚める。
どうも春ごろに越してきたお母さんのようだ。
息子が2人いる。
愛想よくタオルを持って挨拶に来たあの人か。
とにかく怒鳴り声はいや。
やだなあ。
誰かが怒鳴ったり、トラブっていると無視するのが一番なのだろうが
つい寄っていってしまう。
電車の中でもそうだし
町の中でも。
耳をそばだててしまう。
最初に住んだアパートも隣の奥さんが
毎日、娘たちを怒鳴っていた。
上の娘は、小学校から音大に通っていて
朝の7時からピアノをばんばん弾いていた。
流麗にか? いや、私には、ばんばんだった。
いたたまれなくて、ポストに手紙を入れたこともある。
その人は大家のムコ夫婦だった。
やがて小イヌを飼い始めて
うちはノラのネコを飼い始めた。
小イヌは放し飼い同然で、玄関をあけているとよく家に遊びに来た。
母に買ってもらった指輪の石を
飲んでしまったのもその子だ。
そのうち、うちのネコはAIDSにかかった。
元気ではあったが
私の妊娠がわかったこともあって
しかたなくベランダに小さな小屋を作って
その中で飼っていた。
それをめざとく見つけたのが隣の夫婦だった。
ムコは、動物を飼うのは違反、しかも病気だと
なんのかんの“難癖”をつけてきた。
少し喧嘩になった。
「建替の予定があるから出て行ってください」
アパートを追い出されたぞ。身重だぞ。
しかし、今もそのアパートはそのまんま建っている。
築40年にもなるだろう。
楽しい思い出も、イヤな思い出もあるけれど
今となっては、時間が加勢してくれたのか。楽しい方が勝っている。
2間しかないあの部屋で
アルバムの録音もしたし
歌も歌えばギターも弾いた。
ピアノをばんばん叩いて
ぎゃんぎゃん泣いてた娘たちも
おそらく一人だちしただろう。
そしてあの夫婦は30年も年を重ねてどうしているのだろう。
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