2011年1月6日木曜日

チャックベリー84歳

チャック・ベリーが1日夜シカゴで演奏中に倒れたというニュースを
小野島大さんのTwitterで知った。
倒れたことがショックというより、
倒れてもなお客前に立とうとし、
無理矢理ドクターストップで連れ出されたというから壮絶だ。

しかも彼は病院に向かわず、自宅へ戻ったという。
ゴトウゆうぞうさん風に言えば、大正15年生まれの84歳。
大丈夫なのか。

ローリングストーン誌
http://www.rollingstone.com/music/news/chuck-berry-collapses-onstage-in-chicago-20110103

こちらには日本語のニュース解説もある。
http://www.afpbb.com/article/entertainment/music/2781150/6628625

シカゴ・トリビューンには、ギターを抱えチューニングを始めたのに
まさにステージから
連れ出されようとするベリーの姿が動画で紹介されている。
なんと! 背中がさみしい。

そのチャック・ベリーは
私のアタマの中にいるダックウォークのチャック・ベリーではなく
派手な服を着たおじいちゃんだった。

もうゆっくりしてもいい年齢なのに
もうあの頃のようにはギターが弾けないのに
彼はチャック・ベリーで在り続けようとして
決して立ち止まらない。
彼自身がスタンダードなのだから
だれか他の人の曲を演奏するなど考えられないのだろう。
ヘイル!ヘイル!ロックンロール』を観てもわかるが
彼はお金にうるさかった上に、人を信じられぬまま、ここまで来てしまったようだ。
だから尚更、
あくまでメイベリーンを演奏しようとするその姿を想像するだけで泣けてくる。

http://www.chicagotribune.com/news/nationworld/sns-viral-video-chuck-berry-sick,0,6240241.htmlstory

チャック・ベリーは、昨年日本でも公開された『キャディラック・レコード
そっくりさんが出演していたっけ。束の間のシカゴ・ブルース人気をあっという間に取って代わった
時代の寵児という描き方がすごくわかりやすかった。

そういうベリーも、実はブルースを演奏させたら天下一品だ。
他の多くのアフリカン・アメリカン同様、
ルイ・ジョーダンやTボーン・ウォーカーを聞いて育った彼のブルースな一面がよく表れたアルバムがあるので
機会があればぜひ一度お聞きください。






◇ シカゴつながりで

シカゴ・トリビューンを眺めていたら

Chicagoan of the year in music: Syl Johnsonl

という記事を見つけた。
シル・ジョンスンはギターも弾けば、ハーモニカも吹くし
歌わせれば素晴らしいサザン・ソウルも披露する。
下町の紳士といった風貌に
“Come On Sock It To Me”のようなファンキー・チューンがまたよく似合う。
ブルースとソウルの垣根を感じさせない
稀有なアーティストだ。

アル・グリーンで有名な"Take Me to the River"だって
このシル・ジョンスンの方がヒットした。カッコよさではシルに軍配をあげてもいい。


以前編集した『ブルースの世界オフィシャル・ガイド』(そろそろ新しい版が出したい~)
の巻頭カラーページにも快く協力していただいた。

なんだか自分のことのようにうれしい。

この巻頭カラーでの
レストランで料理にかぶりつくシル・ジョンスンさん最高です。
聞くならまずはこのハイ時代を。
アマゾンではmp3でもダウンロードできるようになったのですね。






そういえばお兄さんのジミー・ジョンスンも捨てがたい味の持ち主です。
オーティス・ラッシュと共に来日した際
パワフルな弟とは似ても似つかない
そのハイトーン・ヴォイスを聞いて膝の力ががくっと抜けたことを思い出す。
確かに汗だくのブルースは期待できませんが
繊細な持ち味がなんともくせになるギタリスト/シンガーだと思う。

しかしシルのお兄さんということはジミーも高齢ですね。シカゴ・トリビューンに、
シカゴで行われる音楽フェスを取りまく厳しい状況について書かれた記事もあった。

シカゴもまた新旧交代のとき。古き良き財産と街のプライドを
新しい世代へ伝えようとしているのだ。

 http://leisureblogs.chicagotribune.com/turn_it_up/

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