2014年6月11日水曜日

がびがび。

身体で覚えた経験が少なすぎるのかなと思う。

そう思ったのは
豚肉とピーマンと、あと何か野菜を炒めていたときだ。

まな板を出して
水道で流して
包丁で野菜を切って
相変わらず、ちょっとヘタのあたりが
つながって、ばらばらにならなかったりして。

それから換気扇を回し
ガス台のレバーをひねり
下味をつけた豚肉と炒め始めたのだった。

もう片方の手で、おみおつけにも火をいれる。

手を動かしながら考えていた。

こんなこと・・・と思うようなことでも
一所懸命やったことは
ムダにはならない。

しかし、血肉になるのか、と言われたら
そこは自信がない。

この手でやれた!と思うこと
この足でできた!と思う体験が
圧倒的に少ないのだろう。


まっすぐ線が引けない、と、
ある人に、ぽろりとこぼされた。

いやいや、私も、引けない。
子どものときから。

折り紙を半分に折っても
三角の山がぴたりとは合わさらない。

紙にのりつけをすれば
5本の指がすべて、がびがびになる。

絵を描くのは嫌いではなかったが
パレットはいつも、固まった絵の具で、がびがびだった。

父親はそういう私を見て
「みえは、いくじがないから」
と言った。

今も朝、でかける前に
キウイを刻んで入れたヨーグルトを食べながら
ふと太もものあたりを見ると
ヨーグルトがこぼれている。

せっかく履いていこうと思ったスカートも、がびがびだ。

線が引けない人は、
ぬりえをしても、いつもクレヨンがハミ出してしまったそうだ。

「でも、きちんと線の中に収めなさいと言われるのもイヤでしょう?」
と少しいたずらっぽく言うと
それはそうだと、その人は笑った。

それでも、
がびがび、でなければ、さぞ心地よいだろう
胸を張って生きられるだろうとも思うのだ。

豚肉とピーマンの炒めも
おみおつけも、味はまあまあだ。
特に、おみおつけは、最近われながら
おいしくできることが多い。

でも、でも。

もっとおいしそうにお皿に盛れたらいいのにと思うのだ。

そして終わった後の台所がもっと片付いたらいいのにと思うのだ。








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