2014年6月2日月曜日

電車の中。バスの中。

山手線のドアが開いたら
お尻の見せそうな派手なワンピースが
後ろ向きに立っていた。

ちょっと邪魔っけだなと思って乗り込むと
バギーも一緒だ。

母ちゃんなのか。

ショッキングピンクのこれまた派手な服を着せられた
2歳くらいの女の子は、少し暑いのかお尻をむずむずさせている。

ロングヘアをブリーチした
派手な母ちゃんは、カバンからiPadを取り出した。

たいそうなカバーがついている。

地図でも見ているのだろうか。

と思ったら、バギーの手すりにはめこむように
子どもの前に画面を置いた。
子どもは黙っていじり出す。

母ちゃん、何も言わない。
娘も、何も言わない。
お互い、顔も見ない。
娘、さほど楽しそうでもない。

あろうことか、2人の立っている側のドアばかり開く。

乗り込んでくる人の中には
バギーの車輪をまたいでいる人もいる。

おおむね子どもは好きだが
母ちゃん、父ちゃんが好きになれないと
子どもまでいやになってしまう。

電車の奥から別の子どもの声がした。

こちらの母ちゃんは抱っこして
上下に揺すりながら、なんのかんのあやしている。

一方がまともで
もう一方が、まともには見えない、
というのは自由をうたう社会でもよくあることだ。


帰りのバスは、運転席がよく見える
ちょっと高台になったシート。
少しぼんやりしていると
初老の女性が運転手さんに話しかけた。
「すみません、おろしてください」

「なんですか?」
運転手さんも、少し驚いたようだ。

「あそこの店に行きたいんです」
初老の女性は窓の外を指さした。
指さす方向には小さなケーキ屋がある。

「次の停留所でおりてください」

200メートルばかり先の停留所に着くと
先ほどの女性は「ありがとうございました」と
またわざわざ運転席までやってきて
頭を下げておりていった。

とまどい。

私は、なんだか粗相があってはならぬような気がして
自分が降りるバス停の少し前から
足もとに置いてあった荷物をまとめ
バッグを肩にかけた。

私もこれからどんどん年をとっていくのだ。

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