2016年6月20日月曜日

あの人。

家にこもっても良いとなった日には
ひょっとして本当に一歩も外へ出ないこともある。

夕方ごろ、ようやくドアをあけてポストまで。

集合ポストのところには女性の先客がいた。

こんにちは、と会釈する。
と珍しく相手も返してきた。

「●号室の●●です。」

やさしい笑顔だ。え、あの怒鳴りちらしてるであろう当人か。


「息子たち、うるさくないですか」

意表をつかれた。

「いや、うるさくないですよ、お子さんたちは。」

一瞬、顔色がくもったように見えた。

いや、そう見えただけかもしれない。

なんとなく気まずくて
ポストから手紙を取るとそのまま踵を返してしまった。

しかし気のせいではなかったのかもしれない。

その日から朝晩のどなり声はある日の夕方をのぞき
ぴたりと聞こえなくなった。

むしろ心配になるくらいだ。

おそらく本人も気づいているのだろう。
やめたいと思っていると信じたい。

改めて考えれば、原因は母親にあるのではなく
子どもたちに何か手に負えない
問題があるのかもしれない。

もしそうであれば、母親が内にこもり
暴発してしまうことはないだろうか。


そして、私ももう少し皮肉ぽい言い方ができなかったものだろうか。

とは言え、何と言えばよかったのか
どんな態度をとるべきだったのか
いまだ正解と思える答はみつからない。










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