2014年4月27日日曜日

マッスル・ショールズの映画 7月公開

『黄金のメロディ~マッスル・ショールズ』の試写が始まっています。

今回は試写会ではなく、
ライター陣で集まり、ブルーレイを観ました。

アレサ・フランクリン、クラレンス・カーター、キャンディ・ステイトン、
ジミー・クリフ、エタ・ジェイムズ、ウィルスン・ピケット、
ダン・ペン、スプーナー・オールダム、
さらにミック・ジャガー、キース・リチャーズ、
スティーヴ・ウィンウッド(トラフィック)
レーナード・スキナード、デュエイン・オールマン
といったミュージシャンに加え、モータウンのジェリー・ウェクスラーなども次々に。
サザン・ロックだ、ブリティッシュ・ロックだ、サザン・ソウルだ、モータウンだ
・・・といったジャンルを超えて、
世界のミュージシャンを引き寄せたスタジオ、マッスル・ショールズ。
テネシー川のほとりにある
アラバマの大自然に囲まれたスタジオの風景を通じて、
駆け足ながら、60~70年代の音楽シーンの横串を
可視化することができました。


■マッスル・ショールズとは

マッスル・ショールズは、アラバマ州の北部にある町の名前。
1950年代の終わりごろ、リック・ホールは
友人と共同でフェイム・スタジオを興しました。

その後、彼はプロデューサーとして製作に携わり
フェイム・レーベルなどから作品を世に送り出しました。
その後、アトランティックのジェリー・ウェクスラーや
チェス、キャピトルとも手を組み、たくさんの作品を送り出しています。

後に、マッスル・ショールズ・リズム・セクション(スワンパーズ)は
ウェクスラーに引き抜かれる形で独立。
マッスル・ショールズ・スタジオで
ロック系のアーティストの作品も多く手掛けました。

またこのスワンパーズと入れ替わる形で
サザン・ソウル・ファンに人気のフェイム・ギャングが
サポートを務めるようになっていきます。

しかし、作品の中心はあくまでホールやスワンパーズであり
フェイム・ギャングのシーンは少し。

そういう意味では、どっぷりソウルを聴かれている方には
食い足りないところがあるかもしれません。

実際、ストーンズやオールマンといった
ロック・ミュージシャンの口からでなく
ブラック・ミュージックを語るような映画はできないのかという意見もあります。

でも、私にとっては、
ジャンルという境界線など
見えないラインだったと
改めて気づかさせてくれる映画でした。

「ダンス天国」なら知ってる!
といったロックファンにもぜひお勧めしたい作品です。

乱暴な言い方になりますが、

白人のにいちゃんたち=スワンパーズが、
あんなファンキーな演奏をしていたことに
改めて驚く人もいるでしょう。

映像を観ながら、おや、これは私が70年代に体験した“あの音”だと
ふと感じる場面がいくつか。

そう、キャラメル・ママ(ティンパンアレイ)は
マッスル・ショールズ・リズム・セクションを意識していたと
以前、ドラマーの林立夫さんが語っていた。

音そのものが直結していたわけではないが
私に直感的にファンキーを教えてくれた
彼らの音には、マッスル・ショールズも溶け込んでいたにちがいない。


林立夫さんインタビュー(キリンラガー音楽酒場)
http://e-days.cc/musicbar/musicman/hayashi.html


■リック・ホールという男が人生を賭けたもの

しかし、全体を貫くのは、
マッスル・ショールズの地に
スタジオを興した
リック・ホールその人の思い、生き方です。

一緒に鑑賞していた人の中から、
「頑固一徹、中小企業を興したオヤジの一代記だな」
といった感想もありましたが、まさにそんな風情も。


ネタバレしない程度に書きますが、
ウィルスン・ピケットのワルそうな感じが際立っていました(笑)。
あと、男性陣からは、アリシア・キーズがキレイだとしきりに。

キレイなだけじゃなく
クワイヤをバックにしたアリシアの「プレッシング・オン」は
予想以上によかった。

キャンディ・ステイトンのレコーディング・シーンは
今度出る新作ですね。

昔の栄光ではなく、ちゃんと今に続いている。
そこがまたこの映画の素晴らしいところです。

■南部アラバマ

そしてなんといっても、「スウィートホームアラバマ」。

スワンプ・ロックの地でもありますから
ある程度想像はしていましたが、アラバマのど田舎っぷりには驚かされました。

翻訳家のアライさんによれば
この曲「スウィートホームアラバマ」と、レーナード・スキナード「フリーバード」の
人気には凄まじいものがあるそうです。

そしてマッスル・ショールズのマッスルは、筋肉のマッスル。
洪水や水害に負けないぞという意味があるんだとか。

またアラバマといえば、公民権運動の時代に
激しい人種差別で知られた町でした。
このあたりも事前に知っていると
なおのこと映画の世界に深く触れることができるでしょう。

ということで、7月公開をお楽しみに!



黄金のメロディ~マッスル・ショールズ~

7月より新宿シネマカリテほか全国順次上映予定
http://www.magpictures.com/muscleshoals/


オフィシャルトレイラー
http://youtu.be/FNGtfpim0OM

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